2024/09/10
7月に入ってすぐのことですが、
出船されたご利用者が海上を漂流していた手漕ぎのオールを回収されました。
折しも出船される皆様に漂流物や海上のゴミなどを、
さしつかえない範囲での回収をお願いしていた最中でした。
木製で長さ2メートルほどあるので、プロペラなどにぶつかれば一大事です。
回収していただいたご利用者にお礼を述べ、施設でお預かりしました。
よく見るとブレードにショップの名前らしき文字が○○○と(以下ショップA)、
マジックペンで書いてありました。
さっそくショップ名を検索してみると、
伊豆の伊東に該当するショップがありました。
一応、連絡しておこうと電話をかけてみると、
つながらない、、、、、、、
HPに載っていたショップAの電話と携帯の両方にかけてみましたが、繋がらない。
日にちを変えてかけましたが、繋がりませんでした。
7月の22日に筆者が伊豆の富戸に行く用事がありました。
「ついでだから届けようかな、、、」と、車に積んで。
該当するショップに到着すると、
シャッターが閉まり、しばらく営業されていない雰囲気が。
「店じまいしちゃったのかな、、、、」と、
裏手に回ってみると、
民家が隣接していて玄関が開いていたので
「おはよーございまーす!」と声をかけると
中から年配の男性が出てこられて「何か、、、?」
「あのー、オールをお持ちしましたが、こちらのお店のでしょうか?」
「あ。。。。。。。」と男性。
「それ、どこで?」
「三浦半島の秋谷、佐島方面の沖合いで漂流していました。」
「私は店の者じゃないんだけど、、、実はねぇ、、、、お店のご主人まだ見つからないんだよ。」
「えっ?」
「新聞か何かで見なかった?先月の終わりに沖でお客さん(2名)のボートが転覆して、それをご主人が助けに行ったみたいなんだよ。
そのまま行方不明になっちゃって、まだ見つからないんだ。」
、、、、、、えーーーーーーーーーー!?
びっくりでした。
おそらくあのオールは転覆したお客さんのボートのものだと思われます。
ショップAのご主人は船外機などで救助に向かわれたのでしょうか。
「最初に伊東駅前の交番に通報したから、交番のお巡りさんならわかると思うな。
そのオール、交番に持って行ってみたらどう?」
と言われ、
「わかりました。行ってみます。ありがとうございました。」
伊東駅前の交番に行きました。
「おはようございます。
あのー、このオール拾ったんですけど、、、、」
はじめにちょっと面倒くさそうにしたおまわりさん、
オールのショップ名を見たとたん「あ、、、、、、、」
「それってどこで?」
「三浦半島の秋谷、佐島方面の沖合いで漂流してたのを回収しました。
お店に届けたのですが、隣にお住まいの方に事故のことを聞きました。
伊東駅前の交番に届けた方がいいんじゃないの、と言われてやってきました。」
「わかりました。ご苦労様です。」と、本署に連絡をされ、
「じゃあ調書作りますので、ご協力お願いします。」
いやー
びっくりしました。
まさかあのオールが事故船のもので、はるばる相模湾を渡ってきたなんて。
ちなみに転覆した手漕ぎボートのお客さんはお二人とも海保に救助され無事だったそうです。
荒波の中、クーラーボックスにつかまっていたとのことで、
奇跡的ともいえる状況だったと思われます。
一方、救助に向かわれたお店のご主人はそのまま音信不通になってしまったそうです。
悔やまれるのは、
当時、かなり荒れた海況で、
他のショップはみな出船禁止という状況で、
どうしてこのショップAだけが出船を許してしまったのでしょうか。
また沖合でのトラブルに対して、行うべき救助体制や連絡手段が確立されていなかったのか、
もっとも警戒すべき二次遭難を引き起こしてしまったのか。
同じ出船を管理する者として
あの事故は他人ごとではなく、
いつ、どこで起きてもおかしくないことだと思います。
肝に銘じたいと思います。